急性アルコール中毒で死にかけた私の体験談

この記事を読むのに必要な時間は約 13 分です。

私は以前、急性アルコール中毒で生死の境をさまよったことがあります。よくいう臨死体験とやらも経験しました。今は後遺症もなく元気にしていますので、面白半分でどうぞ気楽に読んで下さい(^^)※長文です。

知人の誕生日で事件は起こった

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それは知人の誕生日でした。

彼は私の元職場の先輩の友達で、かなり人脈が広く、また酒豪で知られていました。(時々いませんか?若いのに謎に人脈の広い若き経営者みたいなオーラ持った人←やたらBARで立食パーティーしたがる)

 

当時22歳(くらい?)だった私は、数合わせみたいな感じで半ば強引に彼の誕生パーティーに参加させられることになり、一度は断ったのですが、会費免除の特別待遇を受けられるということもあって、

「晩ごはん&晩酌代を浮かせられるなー」

くらいのゆるいモチベーションで、しぶしぶながら参加したのでした。

 

当時の私は、明らかなコミュ障でした。ただし、お酒は周囲の人の中では中の上くらいに強かったと思います。

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空気に飲まれ酒に逃げる

到着して3分で帰りたくなりました。

なぜならそこは、コミュ障の私には場違いすぎるくらいチャラいコミュニケーション能力豊かな若人であふれかえっていたのです。

しかもフットワークの軽い立食スタイル!

……それだけでももう逃げ出したいくらいなのに、トドメに先輩から

「仕事で遅れるから、俺が行くまでよろしくやっといて!」

と連絡が来てしまうのです。

 

こうなってしまっては、もうやるしかありません。目立とうとか、場の空気を盛り上げようとかそんな気はさらさらありませんでしたが、とにかく先輩が来るまで無難に過ごそうと思いました。

そうなると、出だしでハンディキャップがある以上、お酒で気分を大きくして緊張をふっ飛ばすしかありません。※この時点で、一人で隅のほうで挙動不審にしている私はかえって目立っていました。

幸いなことに、そういうコンセプトで構えるとそこはなかなか良い場所でした。お酒は各所に設けられたドリンクコーナーに自分で取りに行けるし、立食スタイルだからスイスイ人をかわせます。

 

話す相手もいないので、そこから1時間くらい、どんどん進んでいく誕生パーティーを遠目に眺めながらひたすらお酒を飲みました。ビール・ウィスキー(ストレート)、芋焼酎(ストレート)をチェイサーなしでローテーションしていたと思います。

そして、

「もうなんでも来い」

くらいの勢いになってきた頃、ビンゴ大会が始まりました。

死の序章。ビンゴ大会

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もうかなり酔っていた私のところに、進行役のような人がつかつかと歩いてきて、ビンゴカードを渡して行きました。

まあ、こういうのってまず当たらないものですよね。

私はこの間もお酒をグビグビ飲みながら、読み上げられる番号をグラスを持った方の人差し指でプスプス無機質に抜いていきました。

会場はもうだいぶ温まってきているようで、あちこちから

「○番!○番!」

「あーっ!おしい」

とか聞こえてきて楽しそうでした。

しかも当選者にはスポットライトが当たって、お立ち台へ行って司会のマイクで喜びの一言と、主役への誕生日おめでとうスピーチをしなければならないようです。

コミュ障にはなんて迷惑な演出でしょう。私にはお立ち台が処刑台に見えました。

1等は大きな薄型テレビで、2等はシェイプアップ系のマッサージ器でした。

 

「あ、ヤバい……」

なかなか当たりが出なくなってきた頃、私の手元のカードにトリプルリーチがかかっていました。

でも、これは自己申告型のゲームだし、当たったところで申し出なければいいだけの

「ビンゴ!!」

隣から大きな声がしました。「あ、そうおめでとう」とか思っていると、

「お兄さん、ビンゴだよビンゴ!!」

「3等じゃんやるね~!!」

私のことでした。「余計なことしやがって」と思うが早いか、私のところに例のスポットライトがきました。

急に高鳴る鼓動。私はグラスに残っていたお酒を煽ると覚悟を決めてお立ち台に向かいました。

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死への第一歩。豪華景品

「や、やりました」

「○○さん(主役)とは面識はありませんが、△△先輩の……」

すごく変な汗をかきながらも、とりあえずそれっぽいことを言ってその場をしのぎました。いよいよ3等の景品が手渡されます。

「3等の景品は~……」

「ヴーヴ・クリコォォォォ!!!」

なんで1等2等が家電で3等がお酒(ちょっと良いシャンパン)なのかまったく意味不明ですが、会場は火にトルエンを注いだように湧き上がりました。

 

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「ちょっと味見してみたら?」

「は?なに言ってんのこの人」って思いましたけど、場の空気とは恐ろしいものです。

オーディエンスは私がシャンパンに口をつけるまでお立ち台から降ろしてくれそうにありません。※しかもこの司会、進行の合間合間で酒を飲んでいて、けっこう出来上がっているようでした。

私は緊張で小刻みに震える手で、リボンを外し、包装紙を開けました。

 

「何これチキチキじゃないじゃん……」

コンビニの安いシャンパンしか飲んだことがない私は、コルク栓に戸惑いました。

とりあえず、栓を抜かないとこの空気は終わりません。私は、慣れない手つきで恐る恐る栓に地からをかけました。

「ポンッ!!」

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「Yeeeeeeeeeeeeeeeah!!!!」

なんと元気な人たちでしょう。

 

「ささ、グッと」

「グッと」ってなんだよ味見だろ、とか思いながら、空気感からグラスはこなさそうだったので、私はとりあえず瓶ごと口につけました。

一口飲んで……

「うわまっず!なにこの乾いた雑巾みたいな味!?」

とか思っていると、始まりました。というか始まっていました。

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「イッキ!イッキ!」

この時、生まれて初めて「コール」というやつを聞きました。あれ何ですか?私が知らないだけで何処かで義務講習でもやっているんですか?

みんな掛け声だけでなく振り付けまできっちり合ってびっくりしました。

 

口に合わないわ、炭酸でお腹パンパンになるわで苦しかったですが、私はその1本をなんとか飲み切りました。

肝臓覚醒?

心臓が飛び出るほど緊張するイベントを突破し、なんだか肝がすわった感じがしました。

けっこうお酒を入れた状態に、ただでさえ炭酸でお酒の回りやすいシャンパンをイッキしたにもかかわらず、不思議と酔いが覚めていました。

 

そしてこの時、考えられないことに、先のイッキ飲みがよかったのか、次から次へとフレンドリーな人たちが私にお酒を注ぎに来ていました。

先の印象もあるので、私はなるべく豪快にそれを飲んで見せました。

これが全然酔わない。

いくら飲んでも酔わない。

「これが俺の本気か……」

とか思ってすっかりいい気になっていました。あと、恥ずかしいですが、なんだか自分もリア充の仲間入りを果たしたような気がして内心めちゃくちゃ舞い上がっていました。

 

周りもすっかりお酒が回って、まさに酒池肉林の様相を呈しており、夜もふけてきたからか、ちらほら帰る人たちも出始めているようでした。

運命の時

そこから私は、仲良くなった数人と肩を組んでドリンクコーナーのお酒を持ち出してラッパ飲みしながらゴキゲンで会場を練り歩きました。

翌日仕事組はとっくに帰って、残っていたのは毎回朝までいっちゃうような底なし系メンバーだけのようでした。※飲み方がブッ壊れていたので。

主役も何度もトイレに行って吐いては飲んで吐いては飲んでしているような状態。司会も進行を忘れ、お目当ての女の子を口説くのに夢中なようでした。

もう「会」としてはすっかり崩壊しきってグダグダになっているところへ、

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誰が言い出したかウィスキーイッキ飲み選手権が始まりました。ハイボールではありません。常温の原液ストレート縛りです。

 

ウォッカとか焼酎とかならまだしも、ただでさえクセの強いウィスキーの常温原液です。皆が参加を躊躇している中、つかつかと躍り出る猛者が……。

すっかり目の据わった私でした。

 

 

私は、ウイスキーのボトルをラッパしました。あまりの飲みっぷりに会場はちょっと引いていたそうです。私はリア充に勝ったような気でいたのでしょうか。

完全に調子に乗っていました。

 

そして、最後の一滴を見せつけるように口に落としたそのままの姿勢で、後ろに

ダーン!!!

と倒れたのです。

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ここは何処?私はだあれ?

気がつくと、私は草原にいました。

遠くに木があるとか空に太陽があるとかの絵葉書で見るような草原ではなくて、視界がフルサイズで草原。草原以外のところは瞼越しに見る朝日のような光が埋め尽くしています。

ただ、草の一本一本がそれまでに見たことがないくらいに鮮やかで、全身を通り抜けていくような爽やかな風が吹く度にキラキラと光の胞子が舞う、それはもう神々しいスペシャル感満載の光景でした。※がんばっていろいろ描写してみましたがこの「スペシャル感」の一言に尽きます。

 

そして何より、これまで味わったことがないくらい気持ちが良い。

「気分が良い」

だとちょっと違います。

なんというか、絶対的に爽快というか、体が軽いというか、とりあえずネガティブ&マイナスな概念は皆無な感じといえばいいのでしょうか?肉体と精神に境目がないというか、とにかく気持ちが良いのです。

あと重力も上も下も右も左もなさそうでした。対象物がないので遠近感もありません。ただ、目の前は見えているので前と後ろはあるっぽかったです。

 

しかもその快感は、草原を進めば進むほど強くなっていきます。

そりゃ進むしかないでしょう!笑

事実私は、スキップをしながらニッコニコでふわふわ進んでいきました。

葛藤

そうしてどんどん進んで気持ち良さが高まりきってきた頃、私は足元に【段差】を感じて、

「うわっと」

みたいな感じで止まりました。もちろん段差は見えません。足元では今までと変わらない美しい草がキラキラとそよいでいます。

 

そこで、突然心の中に直接情報が浮かびます。

◆ここまでの(気持ち良さ)はサンプルみたいなもん
◆ここから先はここまでと比較にならないくらいに最高に気持ちが良い
◆ただし、今まで自分が愛していたものが一切ない世界(人とか物とか趣味とか)

私は行ったこともないのに、なぜかその先のことを知っていたのです。

 

ほとんど悩みませんでした笑

いろいろ、今自分が大切に思っているものを天秤にかけてみたのですが、この世界の気持ち良さの重さは凄まじく、みんな一瞬で天高く飛んでいってしまいます。

答え

「よしOK!行くかっ」

と、足を踏み出そうとした時、ふと高校の時の数学の問題集のことが頭に浮かんで、私は出した足を戻して腕組みをしました。

当時やっていた数学の問題集で、1問だけどうしても解けなくて、悔しくて意地になって答えを見ないままになっていた問題がありました。

その問題集もとっくの昔に捨ててしまい、そんなことすっかり忘れていましたし、すごくどうでもいいようなことなのですが、なぜかそれが気になって気になって仕方なくなりました。

 

「よし、じゃあ駅前の本屋でその問題の答えだけチラ見して戻って来よう!」

私は段差に背を向けて、走り出しました。

「本当に戻って来れるよな……?」

とかちょっと心配になりながら、後ろ髪を引かれる思いでとにかく急ぎました。

急がないとこの気持ち良さを享受できる権利が失効してしまう、と本気で思っていました。

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久しぶりの世界

目の前に、あの電気ショックのアイロンみたいなのが2つ迫ってくるのが見えました。

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「あっ!先生!先生!」

看護師さんが慌ててその手を静止しました。

 

メガネをかけた小柄な男のお医者さんが、にこやかに

「おかえり。13%に当たったねえ笑」

と言いました。

「君ねえ、心臓停まってたんだよ」

なんでも87%の致死率から生還したとのこと。

 

「エーッ!!まじっすか!?」

とはなりませんでした。

「へえ、医者ってそんな時でも冷静なんだなあ」

とかそんなことを思いました。

 

それから、先生が出て行って病室に一人になりました。

まず、さっきの世界に比べて今の目の前の世界を圧倒的に狭く、窮屈に感じました。

「なんだ、もうあそこには戻れないのか……」

と思ってわりと真面目に残念な気持ちになりました。

 

次に……

「痛っ!」

股間に激痛を感じました。

確認しようと手を伸ばすと今度は腕に痛み。見れば両腕に点滴が刺さっています。

ちょっと腰を起こすようにして、股間を確認してみると、成人男性の小指くらいの太さのパイプが尿道に差し込まれていて、ものすごく驚きました。(カテーテルというやつです)

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ちなみにこの時の私は、

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※SUNTORY公式サイト(http://www.suntory.co.jp/arp/check/alcohol/)より

この、昏睡期から血中アルコール濃度が下がっていって、泥酔期になっただけの状態ですので、体内にはまだまだアルコールが残っていて、正直めちゃくちゃハイでした。事の重大さがまったくわかっていません。

 

とりあえず、自分が昨夜あのパーティーで酒を飲み過ぎてこうなっているんだな、ということはわかりましたが、不思議とそれをずいぶん前のことのように感じたのでした。

地獄のはじまり

その日はそのまま眠ってしまったようでした。

どのくらい眠ったのかわかりませんが、目が覚めると明らかに状況が変わっていました。

 

「いっそ死んだほうがマシなんじゃないか」

と真剣に思いました。

体の中から内臓が飛び出すんじゃないかと思うくらいのすさまじい吐き気がエンドレスで襲いかかり、それを耐えようにも全身いたるところが激しい筋肉痛と関節痛でまるで力が入らず、吐き気をもよおす度に全身を痛みが走ります。

そして、これまで感じたことがないくらいの、キツい体臭(酒臭さ)が不快で不快で仕方ありません。それがまた吐き気を呼びます。

 

これがこの後48時間続きました。

なんという自業自得でしょう。

当時の状況を聞いて戦慄する

意識が戻った翌日(?)、ちょうど私が悶絶しているところに、先輩が面会に来てくれました。

まず、

「すまなかった!!!!!」

と他の病室に聞こえるんじゃないかと思うくらいの声で謝られました。

 

「最初から俺がついていればこんなことにはならなかった」

先輩は昨夜、なんやかんやで4時間近く遅れてから会場に着いたそうです。

会場に入るとみんな広間の方でコールをしてノリノリで楽しそうにしていたので、とりあえず荷物を置いて私を探したそうなのですが見当たりません。

不審に思って、コールをしている人だかりの方に行くと、そこで失禁してズボンを濡らして床に転がって痙攣している私を発見し、慌てて救急車を呼んだのだそうです。

 

そこにいた方々を悪く言うつもりは毛頭ないことをお断りした上で、この記事を読んで下さっている方に急性アルコール中毒の恐ろしさをきちんとお伝えしたいので、あえて書きますが、そのコールは倒れた私に向けられていたそうです。

 

つまり、先輩が来てくれなければ私は死んでいたということです。

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退院後の苦悩

とくにケガなどもしていなかったので、3日くらいで退院できました。

当時着ていた服はおしっこで終わっていましたので、先輩に鍵を渡して部屋から適当に持ってきてもらった、本当に適当でアンバランスな服を着て私は病院をあとにしました。

 

この時にはさすがにお酒は抜けきっていますので、意識ははっきりしています。

◆あの草原の世界は俗にいう「臨死体験(三途の川)」というやつだった
◆本気で死ぬところだった

ということがわかり、安堵よりは恐怖を強く感じながら電車に乗ったのを覚えています。

あんな体験をしたので、まだ生きている実感が希薄で、ふわふわしていました。(たぶんとっても挙動不審だったと思います)

 

とりあえず、

「もうお酒なんて懲り懲りだ!!」

……ってなると思いますよね?普通。

 

帰り道に、なんとなく駅前のコンビニに寄りました。

ここが現実世界だと感じられる決め手を探していたので、それまでのありきたりな日常を見たかったのです。

 

気づけば私は、ウィスキーの棚の前で立ち止まっていました。

飲みたくて飲みたくてたまらないのです。喉から手が出るとはまさにこのこと。

コレで死にかけたのにもかかわらず、です。

 

それからしばらくは、この葛藤に苦しみました。

幸いなことに、退院の時の支払いで6万円くらいかかって、次の給料日まで所持金が1,000円もなく、お酒を買う余裕などなかったのでなんとかなりましたが、もしゆとりがあったら買ってしまっていたかもしれません。

そのくらい強い欲求でした。

 

「あの世界に戻りたい」

と思ったか、アルコール依存症のスイッチみたいなものが入ってしまったのかはわかりません。

おわりに

当時、アウェーだった私を快く受け入れていっしょに騒いでくれた方々を悪く言うつもりはまったくありませんし、これはセルフコントロールができなかった私の一人相撲だと思っています。当然です。

むしろ、せっかくの楽しいパーティーをぶち壊しにしてしまったことについて、主役の方にはもちろん、参加者全員にこの場を借りてお詫びします。申し訳ありませんでした。

 

急性アルコール中毒について、お酒を飲む人も飲まない人もみなさんに知ってほしいと思い、記事にしました。

途中、記憶がなく、病室で聞いた話をもとに書いた箇所もあります。

 

長くなってしまいました。ここまでお読み下さり、本当にありがとうございました。

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