お酒を飲みたいという欲求は洗脳に似ている

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恥を忍んで申し上げますが、私は長年アルコール依存症でした。しかし、あることに気づいてから、お酒を飲みたくて仕方ない病的なまでの欲求がスパっと一瞬で消え去ったのでした。

お酒の味すらわからなくなるほど飲んだくれていた私

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急性アルコール中毒の直後に待っていた難局はなんとか乗り切った私でしたが、あの一件で明らかにお酒の飲み方が変わりました。ええ、もちろん悪い方にです。

お酒で死にかけたにもかかわらず、私のお酒の飲み方は徐々に荒々しく、病的になっていったのでした。

 

毎晩毎晩、私の晩酌は仕事帰りのコンビニからスタートしていました。家まで待てないのです。

さすがに帰りの電車の中では飲みませんが、隣に座った人が急に席を立って他へ移ることもありました。きっとお酒臭かったのでしょうね。

それでもかまいません。そういう時はそこで感じた背徳感がまた帰ってからのお酒の勢いになるだけでした。

 

そして、ぶっ潰れるように眠って、吐き気でえずく朝を迎える。

そんな毎日を何年も繰り返していました。

幸か不幸か、お酒は強く、二日酔いで頭痛をしたりしないタイプでしたので、

「こんなに辛いならもうやめよう……」

と思うことはほとんどありませんでした。

 

もうお酒を美味しいと感じる感覚はマヒしていました。何のために飲んでいるのかわからなくなっていましたし、わかろうともしませんでした。

「お酒って美味しいものだったはずなのに、美味しくない。なら今飲んでいるこれは何なんだ?」

精神異常者だと思われても仕方ありません。でも大真面目にそう感じていたのでした。

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美味しいお酒を飲みたい!

ある年の夏のことです。テレビでビーチが映っているのを見て、ふと故郷の海辺を思い出しました。

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何のことはない、日本の沿岸部ならどこにでもあるような、石のゴロゴロしたお世辞にもキレイとは言えない普通の海です。

ただ、家から徒歩圏内だったその海で、私は幼い頃からよく遊んでいたのでした。

 

「故郷に帰ったら、あの浜で夕日でも眺めながら、地元の一番高い地酒を思いっきりラッパ飲みしたらさぞかし美味しいだろうな」(急性アルコール中毒の反省がまったくありませんね)

 

成人してから故郷を離れ、月日が経つうちにあれよあれよと黒々しい企業にどっぷりとハマり込んでしまい、なかなか里帰りもできないまま、気づけばもう10年近く過ぎていました。

そんな私にとって、そのシチュエーションで飲む地元の一番高い地酒は喉から手が出るほど美味しそうに感じました。

 

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「よし、ならその時のお酒を超絶最高に美味しくするために、それまではお酒を我慢しよう!」

ご存知のとおり、食べ物でも飲み物でも、そしてお酒でも、欲しくて欲しくて我慢が限界にまできた時のが最高に美味しいですよね。

私は、そんな仕込み(味付け)的な発想で、その日からとりあえずお酒を断ちました。もちろん、これまで何回も別方向からの禁酒には失敗しているので、

「どうせ挫折するんだろうな」

と思いながらのスタートです。

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私の体からお酒が抜ける

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その日を境に、昨日まであったお酒を飲みたいという病的なまでの気持ちが綺麗さっぱり抜けました。

徐々に減らしていったとか、歯を食いしばって我慢したとかではなく、その日からビタッとお酒を飲まなくなったのです。

 

これまでどんなことをしてもやめられなかったお酒。

生死の境をさまよってもやめられなかったお酒。

それが一瞬で私の中からポッカリと消えてしまったのです。

 

飲まなくなってしばらくすると、

「もう故郷の海辺で夕日を眺めながら飲むのはペリエ(ちょっとお高めのレモンの炭酸水)でもいいや」

とすら思うようになっていました。

 

私は、不思議なことを不思議なままにしておくのが嫌いなタチなので、分析をしました。

私の体からお酒を抜いたもの

→今住んでいる町からでもちょっと電車に乗れば行ける
地元の一番高い地酒→大きなデパートには売っているし、ネットでも買える

つまり、私のお酒を飲みたい欲求を見事退治した頭の中のシチュエーションは、絵面だけなら物理的にはわりと簡単に再現できるものです。

しかし、もちろんこれらは違います。となると、残っている要素は、

「故郷の浜で」

です。

私も気づかなかった私の深層心理

どうやら、私の思っている以上に私は故郷に帰りたかったようでした。

「帰れたらいいな」

「懐かしいな」

とはぼんやり思っていましたが、実は燃えるように、故郷に飢えていたのです。

多忙すぎる日常と安月給の中で、いつしか私はそれを叶わぬものとして棚上げして、目を背けていたのだと気づきました。

生前私をとても可愛がってくれた祖父母の墓参りもできないという罪悪感もあって、一時期はかなり病んでいたことも思い出しました。

 

つまり、私がお酒を病的に飲み続けていたのは現実逃避のためで、逃避していたのは故郷に帰れないという、とうの昔に諦めたと思っていた現実で、雪だるま式に膨れ上がった諦めの中心では、当時のまま激しく燃え続ける望郷の念があったのでした。

私は病的なまでに故郷に帰りたかったのです。

それがお酒を欲し続けるという気持ちの正体でした。

 

嘘みたいな、傍目にはバカバカしい話に聞こえるかもしれませんが、このことに気づいてから、私はかつてのようにお酒を飲みたいと思ったことは一度もありません。

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お酒を飲みたいという欲求は洗脳に似ている

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実はこのマインドチェンジの過程は、人が洗脳から抜ける過程に酷似しています。

「洗脳」なんて荒々しい言葉を使いましたが、洗脳ってどんなイメージでしょうか?

 

例えば、あなたからお金を奪い取りたい、あなたに奴隷のようにお金を貢がせたい悪意満載の人がいたとして、その人が言葉巧みに近づいてきて、あなたはガッチリ心を掴まれてしまいます。

いつしか彼のことを信頼しきったあなたは、世間話に始まり、やがていろいろ悩み事などを相談したりしていくうちに、気づけば彼が心の支えにまでなってしまいます。

ついに彼は当初の目的どおり、あなたからお金を貢がせ続けることに成功します。あなたは彼が心の支えなので、喜んでお金を貢ぎ続けるのです。

しかし、彼はあなたの問題を何も解決はしてくれません。仮に解決したように見えても、それはあなたが自己解決しただけ。彼の功績ではありませんがあなたは彼のおかげだと勝手に思い、また貢ぎます。

つまり、

■冷静に考えるとリスクばかり
■それ自体からもたらされる実益があまりに少ない
■本人の従いっぷりが盲目的

ということですね。

 

あれ?

 

そうです。お酒も全く同じなのです。

お酒も、時間とお金を失い、さらには健康を損なうかもしれないという、リスクの塊です。

そして引き換えに得られるのは、一時の気分の高揚という別に他のものでも代用ができるささやかなリターンです。

そのお酒本当に美味しいですか?

「仕事終わりの冷えたビールが最高に旨い!」「ワインのポリフェノールが云々」……などなど、お酒は美味しいもの、いいものであるとされています。さて、果たして本当に...

体質的にお酒を一滴も飲めないのに毎回飲み会に参加している人いませんか?

お酒がもし気分の高揚に必要不可欠なら、彼らはなぜ楽しそうにしているのでしょう。

それはあなたが、

「お酒を飲まなければ楽しくないはず」

と勝手に思い込んでいるだけかもしれませんよ。

 

もちろん、一般的な洗脳と違って、いわゆる特定の「洗脳者(仕掛けてくる人)」はいませんが、少なくともあなたがお酒にどっぷりハマることによって、お酒を扱っている企業や、お酒に酒税をかけている国は得をします。

もちろん、彼らが積極的に人々を酒浸りにするために働きかけているというわけではありません。あくまで事実として、です。

しかし、こうしてきちんとした「得をする人」がいる時点で、盲目的な飲酒は十分「洗脳」として成り立ちます。

 

そういった遠く離れた抽象的な存在だけでなく、もしかするとあなたの周囲に、あなたがお酒に病みつきになって堕落していてくれることで小さな得をしている人たちもいるかもしれませんね。

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あなたのお酒を飲みたい欲求の正体は?

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リスクを理解していてもお酒を飲み続ける、やめられないという心理の正体は、

「お酒に酔っていたい」

すなわち、

「感覚を麻痺させることで感知させないでおきたい何か不快なものがある」

ということです。

それは多くの場合、忘れたい現実であることがほとんどです。

それも、もっと具体的にいえば、その時点での自分のキャパシティを超えていて敗北を認めるしかなかったが、それでも根本的に打開するまでいつまでも迫ってくる不安を伴う忘れたい現実です。

 

あなたのお酒を飲みたい欲求の正体は何でしょうか?

 

焦げ付いた借金!

フラれてしまった恋人!

職場の人間関係!

 

本当にそうですか?

 

考えてパッと出てくるようなものは、既にリアルな問題として自分がしっかり認識していて、優先度の高い問題として何がしかの対処(ヤバいヤバいともがいているのも含めて)が行われている可能性大ですので、ちょっと的外れであることが多いです。

わかっているけどやめられない、というのはすなわち原因が意識のちょっと深いところ、理性でタッチできないところに刺さっているからです。

先ほど、

「お酒を飲みたいという欲求は洗脳に似ている」

と申しましたが、ちょっと足を止めて頭で考えて洗脳が解けるなら、誰も詐欺師に騙されたりしないのです。

理性や思考でタッチできない深いところに、延々回り続ける動機の歯車を埋め込まれるから洗脳として成り立つわけです。

 

あなたのお酒を飲みたい欲求の正体は何でしょうか?

 

その答えに近づくために、深層心理にタッチできる方法をご紹介します。

ブレインダンプ

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<用意するもの>
■大きい紙(A4のコピー用紙でもいいですがA3くらいの大きい方が好ましい)
■ボールペン(個人的にはなるべく太いのがオススメ)

よく、ネタに困った物書きさんが使う方法です。

これはとても簡単で、紙にペンでひたすら思いつく言葉を書き続けていくだけです。

 

ただし、言葉が出てこなくなるまでは、絶対に手を止めないで書き続けて下さい。

字も綺麗に書こうとしないで下さい。字とか行間とかバランスとか気にしていると、結局欲しい答えに辿りつけずに徒労に終わってしまいます。

誰に見せるわけでもないので、速記みたいにただ思いつくままに書きなぐることが重要です。

 

そうやって脳に思考する時間を与えず、ひたすら思いつく言葉を書き続けることで、タスクオーバーを起こさせるのが目的です。

脳がタスクオーバーを起こすと、日頃意識の奥のほうに隠れていて出てこない言葉が出てきます。

 

たとえば最初は

「○○さんと付き合いたい」

とかそんなのだったのが、最後の方になると

「みそしる」

とか出てきたりして驚きます。

 

そしてそこに現状の問題の大きなヒントが隠されていることが非常に多いです。

おわりに

お酒を程よく節制できている方も世の中にはいます。そういった方には意味不明な内容だったかもしれません。

しかし、そうではなく、体に不具合が出るくらいにまでお酒を求めてしまう方に向けて書きました。

 

お酒に悩まれる方が、お酒をやめられたり、再び美味しい適度なお酒を飲めるようになるきっかけになればと思います。

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